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能登復興の“関わりシロ”を知らせる、一般社団法人能登乃國百年之計

一般社団法人能登乃國百年之計

更新日:2025年4月18日

現場の状況と全国からの関心

 2024年1月1日に発生した能登半島地震。正月の夕方に発生した震度7を観測する地震ということもあり、皆さんの記憶にも新しいのではないでしょうか。能登半島の多くの地域が被害を受けたわけですが、能登乃國百年之計では、発災直後から救助や避難に関する活動を始めていました(当時は一般社団法人化前の任意団体として活動)。  2024年3月16日に北陸新幹線が金沢駅から敦賀駅まで延伸してからは、地震被害の様子などがメディアに取り上げられる機会が激減し、能登の住民は「自分たちが忘れられてしまうのではないか?」という不安を感じていました。全国からは「着実に復興に向かっているのだろう」という印象を持たれていましたが、実際には地震から75日経っても水道が使えない地域が多数あり、ようやく倒壊した建物の診断が始まったくらいのタイミングだったのです。このまま報道がなくなってしまったら「能登半島地震は完全に過去のものになってしまうのではないか」という気持ちでした。  そこで、私たちは2024年4月に一般社団法人能登乃國百年之計を設立し、能登復興に向けた諸活動を始めることにしました。

一般社団法人能登乃國百年之計のキックオフミーティングは、地元テレビ局でも報道された

復興を自分ごと化し、地域内外で連携を図る

 はじめに、地域内外の人で連携し、復興の活動を実装していくために、能登乃國百年之計と題した「復興ビジョンライブラリ」(https://notonokuni.jp/)を作る取り組みを始めました。ビジョンライブラリは「能登の未来」について住民の皆さん自身が描く復興ビジョンを、自由に投稿できるインターネットサービスです。最初は能登出身者や能登への移住者、あるいは地震の後に支援に来てくださった方々の投稿が中心でしたが、徐々に能登の住民の皆さんにも投稿していただけるようになり、自分たちの復興のあり方が見えるようになってきました。この「復興ビジョンライブラリ」に自分の未来を投稿することによって、能登の住民それぞれが「自分はこうしていきたい」と宣言するようになりはじめ、復興が「自分ごと」になってきたように思います。  能登半島はその面積が広大で、山や川によって地域が細かく隔てられていることもあり、たくさんの集落による多様な文化・風習が残っている土地です。この地理的な性質上、復興に向けては地域内が連携することはもちろん、地域同士が協力すること、そして能登の外の方の手も借りることが必要になってきます。まだまだマンパワーの不足を感じる場面はありますし、関係者が増える分だけ調整コスト等も増えるので、地域の中でイニシアチブを持ってビジョンを描きつつ、相互協力の関係を作っていく主体が必要になります。能登乃國百年之計では、行政とも連携しつつ、こうした中間支援的な役割を担っていきたいと思っているのです。

復興ビジョンライブラリ「能登乃國百年之計」には、老若男女問わずさまざまな住民からの投稿がある

地域の中に舞台を作り、人を送り続ける

 現在、能登では多くの事業者・団体が、復興に向けた活動に取り組んでいます。一方、地震の影響や人手不足な面が残っているのもまた事実です。そこで、地域の方と地域外の方を繋げ、活動を加速させるべく、能登復興を目指す事業者や団体の日々の活動を紹介するメディアプラットフォーム「シロシル能登」(https://www.sirosiru.jp/)を立ち上げました。  能登で活動する皆さんの記事を読んでいただき、興味を持っていただいた場合には、直接メッセージを送ったり、能登に足を運んで立ち寄ってみたり、仕事を手伝ってみたりすることができます。  これまで活動してきて、復興って地方創生と似ているなと思います。どちらもその地域を存続させるための活動ですよね。人口減少が著しい現代においては、人を取り合うのではなく、関係人口を増やしていこうということが謳われています。能登乃國百年乃計では、能登という地域の中に人々が輝ける舞台を作り、地域の外の方を接続していきたいと思っています。

能登復興の“関わりシロ”を知る「シロシル能登」(https://sirosiru.jp)

それぞれの「関わりシロ」を見つけてほしい

 能登にはたくさんの面白い方がいます。例えば、移住し、能登での暮らしを味わいながら創作活動を行っているアーティスト。能登出身で、現在は県外で過ごしているけれど、卒業したら地元に戻って事業をやっていきたいという現役の大学生起業家。農家、水産業、畜産業、造り酒屋……。たくさんの業種、世代、そして異なるバックグラウンドを持つ人がそれぞれに想いを持って活動しています。  無理して能登へ移住しなくてもいい、ボランティアをしなくてもいい。来てくれるだけでも、知ってくれるだけでも有難いと思っています。「シロシル能登」(https://www.sirosiru.jp/)を通じて、ぜひ今の、その時の能登の姿を知ってください。そして、あなたなりの“関わりシロ”を見つけ、行動していただけると嬉しいです。 全国の皆さんからの応援が、事業者の、地域の大きなチカラになります。

事業者プロフィール

事業者

一般社団法人能登乃國百年之計

代表者:代表理事 林俊伍 所在地:石川県金沢市香林坊2丁目1-1

取材後記

 今回お話を伺った岩城さんは、能登の現状や課題を客観視されている点が印象的でした。ご自身も、元々は別の地域から移住された移住当事者ということで、そういった点も影響しているのかもしれません。地域に住む皆さんの想いを大切にしつつ、行政や外の方とも連携して、より良い復興のあり方を模索、そして実行されています。わたしもシロシル能登を活用して、いろんな事業者さんを見つけたいと思います。能登の話は、日本の各地域で起こりうること。ひょっとするとすでに同じような課題を持つ地域もあるのかもしれない。自分にできることを考え、現地に足を運びたいと思います。

細川ひかり

生粋の香川県民。小麦と塩と水があればうどんを打てる。海といえば瀬戸内海。多島美と穏やかさに安心をおぼえる。社会性と経済性の両立に悩みつつも、社会のあらゆる課題に立ち向かい続けたい。

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