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みんなが住みやすい町づくりを進める“能登不動産”

能登不動産株式会社

更新日:2025年4月18日

能登の風景を残しながら、住みやすい町づくりを推進

 2024年1月の能登半島地震で地域の暮らしは激変しました。自宅が被災したため、やむを得ず能登を離れた方も少なくありません。暮らしを取り戻すためには「生きる基本」である住まいを確保することが重要です。私たちは、不動産屋として皆さんと一緒に今後の暮らし方を考え、奔走しています。  住居の確保は急務です。けれど、復興を急ぐあまりスクラップ&ビルドが進んでしまっては、能登の風景は失われ、人は戻って来ないと思います。重要なのは、能登らしい風景を残しながら、誰もが暮らしやすい新しい町をつくることです。ピンチをチャンスに──安易に言えることではありませんが、能登の魅力を再確認し、より暮らしやすい町にする機会にできたら、と願っています。  能登不動産は、地域に密着した暮らしの相談窓口。みんなが戻ってきやすい町、魅力的な町づくりとは何かを考えながら、地域の復興に取り組んでいます。

海越しに望む立山連峰は能登の魅力的な風景のひとつ

古民家などを再生・活用し、能登の風景を次の世代へ

 地震の被害は甚大で、被災した建物の公費解体を急ぐべきだ、という声はあります。  その一方で、修繕すれば住み続けられる家屋も少なからずあります。能登の風景をつくってきた古民家が失われることは、能登の魅力が半減することでもあるので、みすみす瓦礫にしたくはありません。  そこで、家主不在となった家屋を買い取り、シェアハウスやゲストハウスに改修・活用することを構想しています。地域の皆さんをはじめ、設計士や建築事務所の方々の協力を得ながら、一歩一歩進めています。  能登不動産では、10年以上前から「空き家バンク」を運営してきました。能登町と珠洲市の不動産免許事業者が協力して「のと宅地建物取引業組合」を設立し、能登町から受託して行ってきた事業ですが、全国的に見ても早いスタートだったと思います。その情報を見て能登町への移住を決めた方の中には、「能登の風景や伝統文化に惹きつけられた」という方が少なくありません。復興への道筋を考えるにあたっては、地域の文化や風景などの「能登らしさ」を残し、引き継いでゆくことが欠かせないと思っています。能登町に住み続けたい方はもちろん、新たに能登を訪れてみたいと思う方に対しても積極的に情報発信していきたいですね。

物件調査中!

郷土愛をもって町づくりに取り組む人材を大募集!

 奥能登の不動産状況はガラッと変わりました。「自宅が倒壊したので、とにかく住める物件を探してほしい」「みなし仮設として入居したい」といったお問い合わせが急増。復興作業員のための住居など、県外からの問い合わせも膨大で、能登不動産は多忙を極めています。  これまで「人と人のつながり」でやってきた面があるので、情報をデータ化し、管理することも急務です。  こうした状況に迅速に対応するために、スタッフを大募集しています!
 都市部とは違い、地方の不動産業は「仲介したら終わり」ではありません。たとえば、新しい世代や移住者がスムーズに能登の暮らしに馴染めるよう、地域とのパイプ役となることも必要です。私は地元出身なので、消防団や祭礼に参加し、地域のために働くことが当然と考えて生きてきました。能登町商工会青年部では部長を務め、地域おこしのイベント開催やご当地グルメの出店販売も行ってきました。そうした活動を通じて地域の皆さんと信頼関係が築けるし、仕事もスムーズに進められるのだと思っています。  その意味では、能登の暮らしに興味のある方にとって、不動産業は地域に溶け込むにはうってつけの仕事ですよ。

地域一丸となって盛り上がる宇出津(うしつ)の「あばれ祭」

 もちろん、業務のデジタル化や情報管理など、外からお手伝いいただける方も大歓迎です。不動産に関する知識は後からでも学べます。まず必要なのは「郷土愛」。能登に興味のある方、一緒に新しい町をつくりましょう!

代表取締役の玉地正幸さん(左)とスタッフの水上志都さん(右)

奥能登で唯一、専業で不動産業を営む能登不動産

 地方の不動産は、地縁と人づてで動く場合がほとんどです。そうした中、能登不動産は奥能登で唯一、専業で不動産業を営んでいる希有な会社です。その実績を踏まえ「空き家バンク」事業では、事務局として中心的な役割を担っています。  奥能登は高齢化・過疎化が進む一方で、他地域から若い世代が移住してくることもあります。中には、地元生まれの私より能登の伝統文化に詳しい方もいらして、能登の素晴らしさを再発見する思いです。  もちろん、地域にはそれぞれ個性があるので、すぐに馴染める方ばかりではありません。そうした方に地域の習慣や風習を伝え、サポートするのも私たちの役割だと思っています。
 実は、地震で事務所も被災しました。通り側の窓ガラスが割れてしまったため、シャッターを一部閉めたままで営業しています。移転先を探している状況ですが、トレーラーハウスなど新しい町にふさわしい新しい拠点を検討中です。

事業者プロフィール

能登不動産株式会社

代表者:玉地正幸(代表取締役) 所在地:鳳珠郡能登町宇出津

取材後記

 お話しを伺った玉地さんのご実家は、宇出津の「焼肉・居酒屋あさひ」。地元商工会青年部部長や消防団の活動はもちろん、祭礼の準備・参加に欠かせない100%地元密着の方です。地震の際は、家族の無事を確認してから町内の避難誘導や怪我人の搬送に奔走。管理物件の被害確認や水道の元栓を閉めて回ったほか、防火防犯パトロールなどにも取り組んだそうです。  近年、都市部の不動産屋には「仲介してお終い」というイメージがあるかもしれません。でも、かつて駅前に必ずあった地域の不動産屋は、新しい町と生活へのナビゲーターで、困ったことがあれば気軽に相談できる存在でした。  能登不動産は、まさにそんな存在です。能登らしい風景を守りながら、より暮らしやすい町づくりを考えることで、自分たちが能登の風景の一部になってゆく。そんな「新しい町づくり」に参加してみたいと思いました。

能登町真脇(まわき)でのんびりランチタイム

取材者

井上 みゆき(コピーライター)

大手下着メーカー宣伝部を経てフリー。本業の傍ら、酒・食・エンタメを求めて全国を旅する。関越自動車道が全線開通したころ「海沿いをロング・ドライブしたら楽しそう」という単純な動機から初めて能登の土を踏む。その後インターネットやらSNSの時代に入り、酒蔵を中心に友人が増え、さらに奥能登国際芸術祭にハマり、能登通いが加速している。

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