
未来を紡ぐ医学生たち──“石川・能登未来知図”が考える災害支援とその先
石川・能登未来知図
更新日:2025年6月23日
医療の視点を、災害支援のチカラに

「石川・能登未来知図」を立ち上げた金沢大学医学類6年の橋本晃貴さんと、2025年4月から代表を引き継いだ3年の豊島すみれさん
金沢からでも、学生でも、できることを

揺れが収まると橋本さんはすぐにアパートを出て、親しくしている近所の学習塾へ向かい、塾長と情報収集を始めた

発災から間もなく立ち上げた情報サイト:避難所で配慮が必要な糖尿病患者の治療薬、妊産婦の相談窓口、開局している薬局の情報など、医学系の学生ならではの視点が反映されている

学生有志で金沢大学附属病院の入口に立ち、転院搬送の救急車を誘導
被災した能登へ、学びと支援の道

2024年2月12日、輪島へ向かう道中の様子

学生主体で「今できること」を模索し支援活動を展開し、大学のオープンチャットやSNSなどを通してボランティアを募集し、珠洲市や輪島市に通って活動を続けた

Webサイトに掲載された活動報告の一部
初めての「医学展in能登」で医学生が得たこと、感じたこと

輪島市門前で開催された「医学展in輪島」の様子

9月21日に発生した奥能登豪雨の翌週、輪島市と珠洲市へボランティアを緊急派遣すると同時に、予定していた「医学展in七尾」も開催した
能登に関わり続けるための拠点を求めて

「U-25能登サミット」から高校生の声を未来へ



「U-25能登サミット」初日に参加した高校生・大学生と運営メンバーは、時系列で震災直後からの経験や、そのときどんなことを感じたのか、気づいた課題などを書き出した
災害大国から防災大国へ、能登を防災・減災・復興のメッカに

指導教授で救急医の大先輩であり、いつも活動を応援してくれる岡島教授と

学生だからこそ動けるスピードと柔軟さ、地域と真剣に向き合おうとする熱意が溢れるメンバーたち
「石川・能登未来知図」の関わり代と求めている支援
事業者プロフィール
取材後記
橋本さんと「U-25能登サミット」を取材して、私自身も地震発生から1年半の出来事を振り返る機会になりました。橋本さんとは初めてお会いしましたが、活動内容や人との繋がりで重なる部分があり、ついインタビューの時間が長くなり、1時間程度で切り上げるつもりだった「U-25能登サミット」の取材もゲストトークや高校生・大学生との会話が面白く、2日間フル参加してしまいました。 2024年の元日、私は富山県氷見市(能登半島の一部)の実家に帰省していて人生初の震度5強を経験し、2日に金沢へ戻ってからも近所ではマンホールが隆起して水道は断水、崖崩れや地割れなどもあって、次々と能登の状況が報道されて「何とかせねば、何かしたい」と感じたことを思い出しました。私も有志を集いSNSで情報収集・発信を始め(実はそこに橋本さんも投稿してくれていた!)、交通規制の解除後は奥能登でボランティア活動にも参加していたので、彼らの活動経緯に大きく共感しました。 「石川・能登未来知図」のメンバーは金沢大学の医学系の学生が中心ですが、工学部や文系学部、他大学の学生も運営メンバーとして参加しています。ボランティア派遣に参加している学生は、それこそ多岐にわたり、高校生も参加しています。「石川・能登未来知図」の活動には医学・教育の視点が感じられ、大学生ならではの柔軟なアイデアとフットワークに感服すると共に、未来を支える人材を育成しようとする彼らを応援したいと思いました。
坂下有紀(さかした・ゆうき/コミュニケーションディレクター)
富山県氷見市出身、石川県金沢市在住。出版社で雑誌・Webマガジンの編集を経験後、ワイナリー、酒蔵で編集・企画・Webマーケティングなどに従事。2017年にフリーランスのコミュニケーションディレクターとして独立。観光・食・工芸などの分野を中心に編集・フォトライターとして活動し、イベントや事業の企画運営にも携わる。2024年元日に氷見市で令和6年能登半島地震、9月21日に珠洲市滞在中に奥能登豪雨を経験。初めての被災を経験し、震災情報の収集・発信、現地ボランティア、支援活動に取り組んだ。能登里山里海SDGsマイスター2024修了、のと里山里海ガイド2024修了(1期生)、認定NPO法人 趣都金澤理事。