
応援します!子どもから高齢者まで、自分らしく、健やかに。〝ごちゃまるクリニック〟〝NPO法人じっくらあと〟
ごちゃまるクリニック、NPO法人じっくらあと
更新日:2025年4月18日
輪島で暮らす人々が「自分らしく」立ち直るために
日々の診療を通して、あるいは10代の子どもたちの居場所(運営はNPO法人じっくらあと)を訪れる子どもたちと接したり、いち住民として地域の方たちと接するなかで、最近気になっていることがいくつかあります。 一つは、発災直後から頑張って周囲を引っ張ってきた人たちに見られる「息切れ感」です。「疲れがとれない」「長い先を見ると悩みが尽きない」などの訴えを耳にします。 もう一つ気になるのが、子どもから大人までそうなのですが、「前に向かって進めている人」「元気を取り戻した人」と、「どうしても動けない、立ち止まったままでいる人」「うつうつとしてしまう人」の二極化です。とくに最近は、その差が開いてきたような気がします。 ただし、被災者の立ち直り方というのは個別性が高く、立ち直りが早いことが正解では決してありません。その人、その人の立ち直り方があるのです。 その時、その時の、その人の歩みに合わせて、細やかな配慮──その人が自分らしい生き方ができるよう、「ごちゃまぜ」で「まるごと」の支え合い──をすることが大事だと思っています。

この建物の1階が〝ごちゃまるクリニック〟、2・3階に〝NPO法人じっくらあと〟が運営している地域の子どもたちの居場所「わじまティーンラボ」が入っている(2025年4月3日現在の様子)

ごちゃまるクリニック副院長で、NPO法人じっくらあと理事長の小浦 詩(こうら・うた)さん。
「ごちゃまぜ」で「まるごと」の支え合い

NPO法人じっくらあとが運営する、10代の子どもたちの居場所「わじまティーンラボ」のコミュニティカフェスペース。

「わじまティーンラボ」の自習室。半個室のブースが設置され、 子どもたちが勉強に集中したり、一人の時間を過ごせるようになっている。

隣の空き家を改築し、高齢者を中心にあらゆる世代の地域住民、復興支援または医療関係者らが気軽に訪れ交流できる場「仮称・コミュニティBASEうるしはら」(運営は一般社団法人ごちゃらあと)を開設する計画が進行中。写真は、改築前の家のなかの様子。取材当日は、かつてこの家の住人だった方が撮った写真が展示されていた((写真展は2025年4月20日終了)。
アイデアを形にするマネージャーが不足

クリニックがある1階は、奥能登豪雨の際に浸水被害があり、現在、壁や床をすべて剥がして修復工事を行っている(2025年4月3日現在の様子)。

クリニックの外来診療は、「わじまティーンラボ」の自習室を間借りして行われている。 診察台は、段ボールベッドを活用(2025年4月3日現在の様子)。
過疎化が進む輪島で今までにない地域ケアと子どもたちの応援
事業者プロフィール
取材後記
■医療者は診察室で患者さんに向き合う、というイメージを持っていたのですが、〝ごちゃまるクリニック〟では患者さんを一人の人間として見る、プラス、家族のなかでのその人、学校・地域のなかでのその人を見て「全体最適」を探るとのことでした。さらには、ご自身も地域の一員として、また親として地域と関わり、ご自身の職種や強みを活かして活動をされていることを知り、正直、「こういう医療者もいるんだ」って、すごい新鮮でした(M) ■「わじまティーンラボ」を訪れる子どもたちの成長を近くで見届けることや、患者さんやご家族から「録音して残しておきたくなる」ような言葉・家族の物語を聞けることに喜びを感じている小浦 詩さん。富山市で勤務医をされていたころは「こんなことはできなかった」のですが、ご主人と輪島でクリニックを開業したのがきっかけで「住民としての立ち位置、親としての立ち位置を大事にしながら、小児科医・プライマリケア医として貢献できることを行い、地域の皆さんと暮らす」ようになったのだそう。「まさに、ごちゃごちゃした暮らしなんですが、そこに豊かさを感じている私がいるんです」と語る小浦さんの笑顔が、とってもステキだなと思いました(S)

チームまほみち
〇入江真穂(学生ライター)学生をしながらライターをしています。現在、大学2年生で、大学では経営学と安全保障を専攻しています。能登の復興を目指す事業者・団体さんのお手伝いが少しでもできればと思い、シロシル能登の取材・執筆を担当。 〇道井さゆり(千里浜出身ライター)書籍の企画・取材・執筆・編集の他、本づくりで出合った著者のYouTubeチャンネルの構成などを担当したり、なんやかんややっています。