
北陸最大の和牛生産者”能登牧場”が拓く能登牛の未来
株式会社能登牧場
更新日:2025年4月18日
牛にやさしく、人に美味しく、地域が強くなる牧場
いまや世界的に有名になった「和牛 - WAGYU -」ですが、中でも石川県内で主として飼養された肉質の良い牛のみが「能登牛(のとうし)」と呼ばれます。能登牧場では現在930頭の和牛を肥育しており、能登牛全体の年間出荷頭数のうち4割に達する生産量を占めています。 能登牧場では、独自のアニマルウェルフェア(快適性に配慮した家畜の飼養管理)を採用しており、牛にストレスを与えず健康に育てることを重視しています。世界農業遺産に登録された能登の里山の、澄んだ空気、綺麗な水、静かな飼育環境で、牛たちはすくすくと育っています。 能登牛のおいしさの秘密はオレイン酸です。牛肉の脂肪に含まれるオレイン酸が多いと、肉質がきめ細かく舌の上でとろけるような食感になるといわれています。能登牧場では、肥育月数に合わせて飼料の配合を変え、飲み水の温度、牛舎内の空気循環にまで細かく配慮し、美味しいお肉をお客様にお届けしています。 そして、能登牧場では地域に配慮した循環型の経営を行っています。牧場は、かつて“3K”と言われ敬遠される職場であり、また糞尿等の処理のため近隣に公害を生み出してしまうこともありました。能登牧場ではこうした問題を根本から見直し、従業員の方々が定時に帰れる仕組みを作り、糞尿等を堆肥にして牧草地に有効活用するなどの工夫を通して、能登牧場があることで地域が強くなる経営を実現しています。 <能登牛認定基準> 〇黒毛和種(血統が明確であるもの) 〇石川県内が最終飼養地であり、かつ飼養期間が最長 〇肉質等級がA3以上またはB3以上 など 出展:能登牛オフィシャルサイト https://www.notoushi.net/

能登牧場で肥育されている雌牛
地震被害を乗り越え、常時1,440頭肥育体制へ

作業効率を高める能登牧場の自動給餌システム
地域社会における循環を良くする仲間を募集

能登牧場の牛舎は清潔で機能的
和牛文化を能登から世界に発信するために

能登牛の未来をアツく語る平林さん
事業者プロフィール
取材後記
若い頃は「焼肉食べ放題」に目を輝かせていた私ですが、40歳を過ぎるころから次第に脂が胃にもたれるようになり、昔ほどの量を食べられなくなりました。44歳で能登に移住して以降、お肉屋さんやスーパーでおそるおそる能登牛を買って食べてみると……あら不思議、すっきり美味しく食べられるのです。脂が舌の上でサッと溶け、口の中に旨味がグッと広がり、それでも油脂感はスッと引いていく。この「サッ・グッ・スッ」が能登牛の特徴だなぁと常々感じておりました。嘘だと思ったら食べてみてください。お肉屋さんの野々市ミート(https://www.nonoichimeat.com/)で販売しています。 今回の取材では「目から鱗」の話をたくさんお伺いすることができました。記事の中では詳細まで書ききれていないのですが……。 〇「品種の違い」ではなく「育て方の違い」で肉質が変わる 〇味の好みにもよるが、オスよりもメスの方が美味しい 〇牛の品種によって性格が違うなどなど、生産者さんからしか聞けないような話をお伺いできたことで、能登牛のことが、もっと好きになりました。 あー、おなか減ってきた!

岩城慶太郎(一般社団法人能登乃國百年之計 副理事長)
2021年10月に生まれ育った東京都新宿区から石川県珠洲市に移住。能登半島地震の発災直後から、孤立集落と人数の特定、空路・陸路での避難手段の提供、避難先での宿泊施設や空き家の提供などを行い、2024年4月に一般社団法人能登乃國百年之計を設立。以降、能登地域の復興に精力的に取り組んでいる。