
能登に光を、地域に寄り添う力を──能登町発のボランティア団体“のとテラス”の挑戦
のとテラス
更新日:2025年7月7日
能登町で生まれた地元発のボランティア団体

実家の倉庫が、復興支援の拠点に

「のとテラス」の拠点倉庫で現地メンバー4名にお話をうかがいました
地震の記憶と経験が、支援活動の原動力に

昼食休憩は松谷内さんの実家のお弁当屋さんのお弁当。仲間で一緒に美味しいものを食べるとモチベーションも上がる

取材で伺った日の依頼案件は、仮設団地がある岩井戸公民館前の通路で崩れた部分を埋める作業

華奢な見た目に反して力仕事も得意という池崎さんは、思いやりと逞しさを備えた頼もしいリーダー

故郷の地名が書かれたバス停マグネットは、能登の人々の心の拠り所になった
「地域の声に応えたい」──現場に寄り添う民間支援の強み

豪雨被害後の泥出し作業も、他のボランティア団体や地元の人と協力して実施

ハイエースで何度も往復して余った古タオルを回収(画像提供:のとテラス)

(左)身長より高く積まれた古タオルの在庫(画像提供:のとテラス) (右)引き取った古タオルの在庫でいっぱいだった倉庫も2025年6月現在は右奥の段ボール数個に。
「個人の想いが起点」──自由で持続可能な支援のあり方

笑顔があふれる岩井戸公民館でのサロン活動(画像提供:のとテラス)

移動販売車でお買い物をする岩井戸の仮設住宅に住む皆さんは、松谷内さんが開催するサロン活動の参加者

SNS担当の山崎瑞稀さん(左)とサロン活動を行う松谷内さん(右)
求めているのは「誰かに頼る」ではなく「一緒に考え動ける」仲間



飲み物の差し入れを持ってきてくれた岩井戸公民館の館長さんと
事業者プロフィール
取材後記
明るい。とにかく明るい。「のとテラス」には能登を照らすという意味が込められているそうですが、このメンバーの明るさや親しみやすさが、間違いなく被災地を照らす灯り、光になっていると実感しました。 彼らが照らしているのは、能登でも人口の多い市街地ではなく、1本道が塞がれば孤立してしまうような山間の集落、雪が降れば外と隔絶されてしまう豪雪地帯など、限界集落や支援の手からこぼれてしまいがちな地域。それは彼らがその土地の出身者で、平時からどれだけ厳しい環境かを熟知し、2024年元日の地震も能登の地で経験しているからこそ、この地を照らしているのだと感じました。 取材の当日、柳田の拠点でお話をうかがったあとに岩井戸公民館・仮設団地へ向かいました。拠点へ行くまでも、拠点から岩井戸へ行くまでも、周囲の山は地震と豪雨で崩れて山肌が露わになり、道路もアスファルトが割れて崩れている場所がありました。 人口が集中する都市部でのボランティア活動や瓦礫の撤去などは、人の目につきやすく報道でもよく取り上げられますが、地域の人々の小さな声に耳を傾ける「のとテラス」の支援活動が本当に暖かで、地元のニーズに沿ったものであると取材を通して痛感しました。岩井戸の仮設住宅に暮らす皆さんとメンバーが気さくに会話する様子、作業後に差し入れをくださった館長さん。その話しぶりや笑顔を見れば、彼らがどのように地元に溶け込み、必要とされているかがわかります。
坂下有紀(さかした・ゆうき/コミュニケーションディレクター)
富山県氷見市出身、石川県金沢市在住。出版社で雑誌・WEBマガジンの編集を経験後、ワイナリー、酒蔵で編集・企画・WEBマーケティングなどに従事。2017年にフリーランスのコミュニケーションディレクターとして独立。観光・食・工芸などの分野を中心に編集・フォトライターとして活動し、イベントや事業の企画運営にも携わる。2024年元日に氷見市で令和6年能登半島地震、9月21日に珠洲市滞在中に奥能登豪雨を経験。初めての被災を経験し、震災情報の収集・発信、現地ボランティア、支援活動に取り組んだ。能登里山里海SDGsマイスター2024 修了、のと里山里海ガイド 2024修了(1期生)、認定NPO法人 趣都金澤理事。