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ガソリンスタンド居酒屋? 震災からの、復興で考えた“森本石油”らしい新たな挑戦!

株式会社森本石油

更新日:2025年7月8日

ガソリンスタンドでの出会いが、能登の復興につながる

 私、森本敬一(もりもと・けいいち)が経営するガソリンスタンドは、徹底的にフルサービスにこだわっています! フルサービスだからこそ来店されたお客さんと会話が生まれ交流につながります。  ガソリンスタンドこそ“出会いの場”なのです。

グチや悩み相談をキッカケに、地域問題の解決を考える

 ガソリンスタンドに来店されたお客さんと話をしていると「今年は牡蠣の規格外が大量に出てしまった」「穴水に猪が多く、農地等で被害が出ている」「ワイン製造時の搾りかすの活用法に困っている」など、生産者さんなどから出てくる課題を直接耳にします。会話をキッカケに、一緒にできることは何かを考え、解決方法を模索します。  例えば、高校生との缶詰づくりは数年前から行っています。石川県立穴水高校の生徒と一緒に規格外の牡蠣を使用したアヒージョの缶詰開発をしたり、日本航空学園の生徒とはムール貝を使用したアクアパッツァの缶詰を作っています。商品やキャラクターデザインなども生徒が行いました。  開発をキッカケに地域の良さを再発見するだけではなく、地域問題についても一緒に考える時間が共有できています。

石川県立穴水高校の生徒と一緒に開発を始めて5年。能登で採れた椎茸「のと115」も入っている

みなさん、全国各地から「ガソリンスタンドガイドツアー」に来てください!

 セルフのガソリンスタンドが年々増え、フルサービスのガソリンスタンドの良さを知らない人が増えてきました。だからこそ、お客さんとガソリンスタンドのスタッフとの交流が減ってしまい、出会いやつながりの大切さが希薄になりました。  いろいろな会話が気軽にできるのは、フルサービスのガソリンスタンドだからこそ! 震災当時のことや、能登の今についても、ぜひスタッフと会話をしてみてください。私たちは能登の現実を知ってもらいたいと、強く思っています。

創業当時から人との出会いや、つながりを大切にする森本石油

 ガソリンスタンドを継いで30年。たくさんの出会いから生まれた事業の実例が、多数存在することも当社の強みです。全国のフルサービスの経営者やスタッフさんで、興味がある人は、ぜひ「森本石油」に来てほしいです。  実際に来ていただき実例を見ていただくことで、ガソリンスタンド経営に役立ててもらえればと考えています。私は、お客さんと交流ができるフルサービスのガソリンスタンド経営が大好きだからこそ、激減しているフルサービスの活路を一緒に見出したいです。  ご希望があれば、私が出張をして全国各地どこへでも行きます! 一緒に課題解決に向けて取り組みましょう!

被災地では、今もタンクローリーが足りない! 工事現場に燃料が運べない!

 能登半島では、隆起した湾岸の護岸工事や、被災した家屋の公費解体などが、2025年6月の今も各所で行われています。現場で使用されるブルドーザーやダンプカーの燃料を運ぶタンクローリーが足りません。燃料が運べなければ、工事スケジュールを想定どおりにこなすことができません!   今回の震災や豪雨による影響で、廃業されたガソリンスタンドもあり、数が減ってしまいました。  復興支援として他県より、タンクローリーの寄付の申し出があり、受け入れようとしましたが、警察の車庫証明や消防の常置場所申請の手続きが、思うように進まず難航しました。  被災地特例が無く、融通が利かないなど災害時における大きな課題として、今後しっかりと考えなければいけないと思います。  一日でも早く復旧復興を進めたいのに、「燃料が足りない!」という問題に直面しています。残念ながら、国や行政、石油組合なども燃料供給の問題をあまり重要視していないのが現実です。  これからさらに湾岸の護岸工事が増えるなか、「燃料供給問題はどうするんだろ」という不安は募るばかりです。

やりたいことは山積み! とにかく人手が足りない

 まだまだやらなければいけないこと、やりたいことが山積みです。補助金の申請書類作成なども含め、何をするにしても人手が足りていません。  能登半島で一緒に頑張ってくれる人材集めにさえ、手が回っていません。

能登半島の課題や想いについて、どのように解決したらいいのか考えを語る森本さん

公開されていないことが多すぎる! 能登半島の”今”を知ってもらいたい

 能登半島に一度来て現地で見聞きした現状を、地元に帰ってから一人でも多くの人に伝えてほしいです。地震が起きて1年半以上経っているにも関わらず、まだまだ復旧復興に時間がかかっている現実を知ってもらいたいです! まったく公開されていない景色や現状が多いため、県外の人には伝わっておらず、震災が無かったことになっているのではと不安になります。

震災直後の様子。まだまだ復旧復興が必要な場所は多数ある(撮影場所:穴水町 撮影:2024年1月1日 撮影者:森本敬一)

ノウハウも人脈も共有できる人材……ズバリ弟子募集!

「私と行動を共にしてくれる人がいれば…」と日々思っています。ガソリンスタンドで大切にしている地域交流、補助金を含む申請書類作成、生産者さんとのやりとりや加工品の制作過程など、行動を共にすることでいろいろなノウハウを学ぶことができます。  特別な経験や資格がなくても「やってみたい!」という思いのある学生にも、ぜひ挑戦してもらいたいです。  何をするにおいても重要になる、新たな人脈やつながりもできます! 被災地のことや、これから未来につながるさまざまな過程も実際に見て体感できます。  住む食べる寝るところはあるので、思い切って能登に1年ぐらい来てもらい、私と一緒に全力で走ってくれる人を募集しています!!

代々伝わるおもてなし精神を引きついだ4代目

「森本石油」は昭和3年に曾祖父が創業して、私で4代目になります。当時では珍しいガソリンスタンド創業や、電力会社を作り能登に電力供給もしました。能登で初めて駅前に、江戸前握り寿司の店舗や本格中華料理店、趣味が高じてできた和菓子店「ふじ菓子舗」を開店させるなど、当時では珍しい食文化も、穴水町の人たちへ提供しました。  その後、3代目にあたる父の時代には朝早くガソリンスタンドへ来店した人に、焼き立ての厚切りトーストとゆで卵のモーニングセットを提供していました。  私が「自分にできることを!」と奔走するのは、生まれ持ったDNAに由来するのではと思っています。 “もはや道の駅”と称されるほど、能登半島のおいしいものが事務所内で販売しています。私が経営する別会社の加工品もふくめ、能登半島にはおいしいものがたくさんあります!  事務所を交流の場としても活用しやすい空間へリニューアルするための工事を、2025年6月からおこなっています。ガソリンスタンドという地域コミュニティーが、これからさらに進化します!  人と人を繋ぐ地域交流の場所として、これからも「森本石油」はフルサービスにこだわるガソリンスタンド経営をおこないます。

事業者プロフィール

株式会社森本石油

代表者:森本 敬一 所在地:石川県鳳珠郡穴水町川島キ112-1

取材後記

 支援物資の受け入れや必要としている人への受渡し、メディアへの取材先紹介、人探しなども「森本石油」で行った話を聞きました。  森本さんは、知識も人脈も経験も豊富なので、話しやすくてつい頼ってしまうのだと感じました。  森本さんと会うためにガソリンスタンドへ寄る人、ガソリンを入れたついでに事務所へ入る人と取材中に遭遇しましたが、これは「森本石油」の日常的な光景らしいです。 そのような人たちとの交流をさらに大事にするため、事務所内に“ガソリンスタンド居酒屋”を2025年9月頃にオープンさせるそうです。ガソリンスタンド×居酒屋の化学反応がどのようになるのか、興味深くてたまりません! 新たなコミュニティができそう!!  シロシル能登を通して、頼れる兄貴的存在の森本さんと相性が良く、一緒に全力疾走できる素敵な人がみつかることを願っています。

森本さんやスタッフさんとの交流が楽しくて、つい長居してしまう人も多いとか

堀 真由美(ほり・まゆみ、ライター・編集者)

 大分県出身在住。  ローカル雑誌を発行する出版社を経て、さまざまな業種で広報中心の仕事をしてきました。現在は、大分の情報サイトの編集及びライター、イベントプロデュース、広報に関するアドバイスなどを行っています。

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