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料理人としての情熱を、能登の未来のために食と若者に託す“朝漁れ一番哲”の思い

朝漁れ一番哲

更新日:2025年9月29日

飲食への熱き想いと能登への移住

 私、会田哲也(あいだ・てつや)は、高校生のころからラーメン店でアルバイトをしていて、その後「浜丁寿司」というお店と運命的な出逢いで寿司、割烹、親方のさまざまな料理に挑戦する姿勢、おかみさんの誰に対しても優しい姿を見ながら10年の修行を経験させていただきました。  その後は鉄板焼き店での経験も経て、最終的にチェーン店で日本海の魚を扱い、日本で一番「ノドグロ」を扱う「八吉大宮店」の料理長を務めました。  この経験から日本海の魚の素晴らしさを知ったんです。  だから地方移住を考えたときも日本海側が候補になっていましたね。  日本海側への移住を考えるなか、母親の他界を機に会社を辞め、半年間の移住先探しへと旅立ちました。  なかなか当時は大変でした。  受け入れてくれないところもたくさんありました。  それでも移住先を決めようと旅をするなかで最終的には「NHK連続テレビ小説 まれ」を見ていたこともあり、能登の魅力に惹かれて移住を決めたんです。

能登の「リアル」を伝える観光の伝道師

 店に来ていただいたお客様には「感じたままの能登を多くの人に伝えてほしい」と話しています。  感じ方は人それぞれなので、「復旧、復興が全然進んでない」と感じる人はそれをありのまま伝えてほしいですし、「よくここまでやったな」と思ってくれる人には、ぜひ帰ったら周りの皆さんに「能登に見に来てください」と伝えてほしいと思っています。  類は友を呼ぶではないですが、能登に来る人の友達は同じような感覚の人が多い気がするので、そのまま伝えてほしいなと思っています。

七尾駅近くに店を構える朝漁れ一番哲

料理人としての確固たるこだわり

 お客様の第一印象を大切にするため、お通しには特にこだわりがあります。  酢の物、しょっぱいもの、甘いものなど4種類を彩り豊かに提供しています。  刺身を盛る器も目で見て楽しめる工夫を凝らしています。

朝漁れ一番哲では視覚でも楽しめる料理を提供している

 また、朝獲れたばかりの新鮮な魚を刺身で提供し、石川県産の日本酒も15種類ほど揃え、3種類の飲み比べができるようにしています。  移住してきて普通の料理というより自分らしく自分らしいオンリーワンやオリジナルの料理を提供したく日々研究しております。  ホテルからのお客様も多いので、能登の雄大な里山里海ならではの『本物』を提供したいんです。

七尾の「味」を全国へ! オリジナル餃子に懸ける情熱

 今年(2025年)、七尾市で「七尾土産コンテスト」が開催されるとのことなのでエントリーしたいと思っています。  能登というと、どうしても輪島市の方が知られているので、これを機に『能登には七尾もあるよ』と知ってもらうためにアピールしたいです。  七尾市のご当地お土産として、オリジナルの牡蠣餃子でのエントリーを考えています。

朝漁れ一番哲オリジナルの牡蠣餃子!

 まだ試行錯誤しておりますが、牡蠣餃子に続き、七尾市や能登ならではの食材を使った新たなオリジナル餃子を考えています。フクラギ(イナダ)照焼き餃子や、七尾市に会社と工場のあるスギヨさんの極香り箱というカニカマを使った餃子など、もう何度か試作しました。  こちらもエントリー予定ですので今後楽しみにしていてください。  ほかにも力を入れているのが、東京八重洲にあるアンテナショップへの出品、出店です。  ずっとアンテナショップへの出店を目指しているのは、能登に来る限られた人が見る地方の店で売るよりも、たくさん人口が集まる東京で食べてもらい、気に入ってもらえれば七尾や能登に興味を持ってくれる可能性が広がるかもと思っているからなんです。  この実現のためにも、今後のコンテストも頑張っていきたいですね。

多忙を極める日々の悩みと、未来への希望

 朝の仕入れ、店の掃除、買い物、事務処理など、一人でやることがあまりにも多すぎて、とにかく自分の時間が足りません。  朝早くに魚だけを持ってきてくれる人がいるだけで、仕入れの負担が減り、昼営業もできる。  SNSの投稿や動画作成、メディアへのアピールなど、やりたいことは山ほどあるのに、何をどうすればいいのか、手が回らないのが現状です。  究極を言えば、僕自身がもう一人いるといいんですよね。  AIみたいな感じで。  現実は難しいですけどね(笑)  料理にはこだわりもありますし、そこは自分が頑張るところだと思っています。  だからこそ、僕の雰囲気を出せるようなコメントを使ってSNSを更新してくれる人や、YouTubeの撮影や編集を手伝ってくれるような、若い世代の力が必要だと強く感じています。  ボランティアではなくとも、編集や広報活動を専門とする方がいればお任せしていきたいですね。  もっと広く能登の魅力を伝えられると思います。

震災を乗り越え、未来を担う世代へ託す思い

 震災発生時、実家の近くで外に出ていて津波の危険を感じ、車で避難しました。  元日に災難だったねと言われることもありましたが、私は元日に助けられた気がします。  皆さん、食べ物などを買っていただろうし、家族も揃っているお宅が多かった。  避難のときも一人になる人が少なかったのではと個人的には思っているんです。  幸いにもお店の被害は少なく済んだので、じっとしているのが辛くなり自分のできることをしようと思い、震災直後からお弁当やカレー、おにぎり、味噌汁を作って販売しました。  私は、何かあった時に引きずるタイプではなく、すぐに切り替えて行動するタイプなんです。  動かなければ何も始まらないと考えています。  最近考えているのは七尾市の未来についてです。  この先の能登をどうしていくかを考えています。  これからは若い人たちが先頭に立って能登の魅力を新たに作っていく方が新しい考えや発想を活かしていい方向に向かう気がします。  その時に年配の皆様のアドバイスも必ず必要になってくると思います。  だからこそ、これからの能登の未来を担う20代、30代の若い世代に大きな期待を寄せています。  能登が発展していくためには、新しいことをやる必要があります。  彼らが数年後の能登を考え、新しい風を吹かせることが重要です。  そのために、私が培ってきた経験や知識は、惜しみなく伝えていくつもりです。  例えば、一緒に仕入れに行って、プロの目線で魚を見極めるコツや、動画撮影における気づきなどを伝えたら面白いかもしれないですね。  とにかく、20〜30代の若い人たちは、年配の人たちよりも、もっと前に出ていってほしいですし、私たちもそのような若者を応援していきます。

お店でのお客様との会話も大切にする会田さん

共に能登の「食」と「未来」を拓きませんか?

 能登が持つ豊かな食材の魅力と、それを全国に発信しようとする情熱は申し分ないくらいあるのですが、一人の力では足りないという現状があるんです。 それがみなさんにも伝わってくれれば幸いですね。  もし、「能登のために何かしたい」という気持ちが芽生えたなら、ぜひ能登の地を訪れてみてください。  「朝漁れ一番哲」では、特にSNS運用や動画編集といった広報活動、そして昼営業を支えてくれる人材を強く求めています。  あなたのスキルやセンスが、能登の「食」の魅力を全国に届け、若い世代が活躍できる未来を創る大きな力になります。  あなたの「応援したい!」という想いとチカラをぜひ貸していただけるとい嬉しいです。

事業者プロフィール

朝漁れ一番哲

代表:会田哲也 所在地:石川県七尾市神明町ロ22-4

取材後記

 この度は取材をさせていただきましてありがとうございました。  真夏日のなか、スーツケースを片手に到着した僕を窓から「こっち!」と優しい笑顔で迎え入れてくれた会田さん夫妻!  素敵すぎる出会い方でした。  料理一筋の人生を歩んできたという会田さんのお話には常にお客様、相手のことを第一に考え、「自分がお客さんだったらどう思うだろう」という視点が入っていました。  朝漁れ一番哲さんにきたお客様はもちろん、会田さんの周りの人は会田さんの手のひらで転がされているかもしれません、いい意味で心を読み取られて。  もう一つ素敵だなと思ったのはやはり会田さんがみている先は他のどの方々よりも未来であるということ。  こだわりを持ちつつも、若い人に焦点を当て、若い人に頼り、任せ、さらに価値観を若い人から学ぶことを厭わないという会田さんの考えはこれからの能登を盛り上げるために非常に重要な一歩だなと気付かされました。  第一サポート若者に立候補!! ということでいつでも困ったら連絡お待ちしております。  この記事を見たみなさんも素敵な会田さん夫婦がやっているお店にぜひ足を運んでみてください。  P.S. 餃子食べに絶対行きますので新餃子できたら連絡くださいね! 楽しみに待っております。 最後に皆さんにお願い。  読者の皆さん、最後まで読んでいただきありがとうございます。 「行動で応援すること」が何よりも会田さんの助けになります。  会田さんの助けになれることはないかぜひ探してみてください。  そしてSNSをフォローして、「自分はこれができるぞ」とDMしてみてください。よろしくお願いいたします。

松村 叶(まつむら・かなた)

 早稲田大学在籍中の大学生&経営コンサルタント。ライターとアパレル立ち上げに挑戦中。東京の人材会社インターンにて新規事業企画、営業等を学び、スラッシュキャリアを大学生のうちから経験すべくさまざまなことに挑戦しています。今後は大学生&個人事業主&クリエイターの3足のわらじを履いて活動していきます。 https://www.instagram.com/kxnxtx.nine

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