
価値ある能登を未来につなぐ--門前に居場所を作る“NOTOTO.”
一般社団法人NOTOTO.
更新日:2025年5月23日
多様な人が働ける能登を未来につなぐ
ランドリーカフェから始めるコミュニティ
1.まず、門前にランドリーカフェを

解体が進み、街並みの中に更地も目立っている(2025年3月)

ランドリーカフェの完成予想図。井戸端会議場にもなりそうだ
2.総持寺通り商店街の活動を支援

總持寺祖院の崩れた石垣(右側)から門前の街並みが続く(2025年3月)

2024年11月から営業開始した仮設商店街
活動を助けてくれる人を求めています!
1.門前で事務作業などをサポートしてくれる方
2.住民に癒やしや楽しみを提供してくれる方
3.珠洲に常駐して活動する方

ワークショップで、珠洲のまちづくりをみんなで考えた(2025年3月)

被災状況を踏まえた復興に向けてフィールドワークも(2025年3月)
一般社団法人NOTOTO.について

陸路で大量の物資を運ぶのが難しく、船での試験輸送に載せてもらって輸送した(2024年1月)
事業者プロフィール
取材後記
門前は、ズバリその名の通り、總持寺祖院の門前町です。NOTOTO.の取材前、お寺で副監院の髙島弘成(たかしま・こうじょう)さんにお話を伺いました。境内では、倒壊した回廊や、前田利家の妻・まつの菩提寺の芳春院などの建造物が撤去され、他にもまだあちこちに地震の爪痕が残っています。 「当初は衝撃を受けて気弱になり、周辺のみなさんにもご心配をおかけしてしまいましたが、これまでも数々の困難があって、その都度乗り越えてきての700年なのだと思い直しました。今後は一層、寺と街の人たち、行政が一体となって、復興していかなければと動き出しています」 總持寺は、1898(明治31)年に火災でほぼ全山を焼失し、伽藍の多くは再建されたものの、2007年の地震では30棟の建物すべてに被害を受けました。そのたびに復興してきたのです。2024年10月には、16棟の建造物が国の重要文化財に指定されたことが朗報で、再建に光が差しています。 髙島さんの言う「街の人たち」の活動を取りまとめているのが、宮下杏里さんです。20代で地元に戻りこの仕事に就いたころには、子ども時代から知っている“杏里ちゃん”としか見られず、ほとんどが60代以上の商店主のなかでリーダーシップを取るのが難しかったと言いますが、粘り強く話をし、困りごとに寄り添ったことで、いざ地震が起こったときに力を発揮できました。 そんな彼女がいたからこそ、NOTOTO.でも門前の支援に入ることができ、今も安江雪菜さんとタッグを組んで次の目標に向かっているようです。 しかし、宮下さんが「個人的にいちばん困っているのは、今後住む家。元々、門前には賃貸住宅というものがないから、仮設住宅から出るときには自分で家を建てなければならない」と話すのには、切実なものを感じました。都市部では集合住宅は当たり前にあるので、そこまで思い至りませんでした。 それでも地元でこの先の復興に力を尽くそうという彼女を、応援したいと思いました。

以前の門前を再現したジオラマの前で、宮下杏里さん(左)と安江雪菜さん(右)

柳澤美樹子(やなぎさわ・みきこ、旅行作家)
「旅・食・人」をテーマとした著述編集のため、日本中をまわっている。1996年にJTBから発行された『ひとり歩きの金沢能登北陸』を書くにあたって濃厚に能登を取材したことから、能登とのご縁を深め、能登半島地震発災以来、観光分野で能登を応援したいと活動している。 日本旅行記者クラブ個人会員・日本旅行作家協会会員