
珠洲焼の魅力を地元から伝え続ける──“Gallery 舟あそび”再建への思い
Gallery 舟あそび
更新日:2025年9月23日
取り壊し寸前の日本家屋をギャラリーに

珠洲焼の作家・篠原 敬さんの作品(舟見有加さん提供)

珠洲市若山町の古民家を活用して2008年にオープンした「Gallery 舟あそび」(舟見有加さん提供)
「裸の焼き物」珠洲焼本来の魅力を伝えたい

古民家を活用して珠洲焼を展示していた、震災前のギャラリー(撮影:2022年6月 舟見有加さん提供)
これまでにない揺れで工房の新しい窯も崩れる

元日の地震で制作途中の作品などが壊れた篠原さんの工房(撮影:2024年1月5日 舟見有加さん提供)
窯の再建と「一人一花」プロジェクトにも参加

工房で崩れた窯のレンガを積み直すボランティアの女性(撮影:2025年4月25日 舟見有加さん提供)
「美しいこと」が人を前向きにさせてくれる

ギャラリーの再建予定地(撮影:2024年8月 舟見有加さん提供)
珠洲焼が実際に「使われる」ギャラリーに

ギャラリーの再建と「一人一花」プロジェクトに走り回る舟見有加さん(撮影:加藤直人)
事業者プロフィール
取材後記
取材は珠洲市内ではなく、舟見さんが「一人一花」プロジェクトの関係で立ち寄っていた輪島市で行わせてもらいました。 今の悩みを聞くと「体が一つしかない」こと。ギャラリー再建のための助成金の申請をはじめ、窯の再建や「一人一花」プロジェクトに走り回って確かに忙しそうでした。 一方で「何かしたい」「手伝いたい」という人たちを受け入れ、一つ一つレンガを積んでもらったり、花の苗を植えてもらったりしているそうです。時間はかかるけれど、そうすることで一人ひとりが珠洲や珠洲焼のことを思い、幸せになるのならば、それが「本当の復興」ではないかと舟見さん。 「珠洲は珠洲の時間で、『珠洲時間』で復興していけばいいと私は思っています」という言葉が印象的でした。 今年、2025年4月から始まった窯のレンガ積みは、8月末にようやく終わったそうです。その窯でじっくりと焼いた珠洲焼が飾られる新ギャラリーで、珠洲焼の器にいれたお茶をゆっくりと味わう。そんな贅沢な「珠洲時間」が体験できる日を、楽しみに待ちたいと思います。
関口威人(せきぐち・たけと、ジャーナリスト)、加藤直人(かとう・なおと、カメラマン)
関口威人 1997年、中日新聞社に入社し、初任地は金沢本社(北陸中日新聞)。整理部記者として内勤を終えたあとに片町や香林坊で飲み歩き、休日は能登や加賀をドライブで走り回りました。現在は名古屋を拠点とするフリーランスとして、主にヤフーニュースと東洋経済で防災や地域経済などについて執筆しています。 加藤直人 三重県伊勢市出身、在住。地元の行事やモータースポーツを被写体としながら、地域防災活動にも取り組み、能登では特に技術系ボランティアの活動を追い掛けてきました。現在は伊勢神宮の2033年の式年遷宮に向けた各種行事も記録しています。