
輪島朝市の味と文化を守りたい! “南谷良枝商店”が金沢で再起の一歩
南谷良枝商店(有限会社鶴竹)
更新日:2025年8月22日
17歳のときから朝市に出店、全国に商品発送も

震災前の輪島朝市の様子。左が南谷良枝さん、中央が娘の美有さん、右が良枝さんの母の鶴竹友子さん(南谷良枝さん提供)
自宅や加工場は激しく被災、伝統のいしるも流出

加工場の裏庭に現れた地割れ(撮影:2024年2月頃 南谷さん提供)
全国からの応援メッセージで「もう1回」と奮起

全国から届いた応援メッセージで再起を決意した南谷良枝さん(撮影:加藤直人)

金沢市金石地区にオープンした「南谷良枝商店金沢支店」(撮影:加藤直人)
娘たち世代の感性を生かして、輪島朝市の復活を

輪島の海の味を凝縮させた南谷良枝商店の商品(撮影:関口威人)
事業者プロフィール
取材後記
トレードマークのピンク色のポロシャツに身を包み、南谷さんは終始、華やかな雰囲気で話をしてくれました。ただ、震災直後から常に前向きで来たかというと「前には進んではいないのかも」という言葉も。 「前に進んではいないけど、止まってはいなかった。被災者やし、いろんなものを失ったけど、とにかく毎日忙しくしてました」 そんな南谷さんの姿を、そばでずっと見ていたのが娘の美有さん。この日は輪島の加工場に行っていて会えませんでしたが、美有さんが立ち上げたクラウドファンディングのサイト(2025年8月現在、募集終了)などを見ると、お母さんにひけを取らずに頼もしそうです。 「私は落ち込んではいなかったんですけど、娘は多分、私のことをかわいそうだと思ったんでしょう。こんな母ちゃんを守らないといけないって思い込んで、クラウドファンディングを始めたようです。私はクラファンに抵抗感があってダメやって言ったんですけど、『母ちゃん、そんなこと言ってたらつぶれるよ』って。震災後に頼もしくなったのかもしれません」と微笑んだ南谷さん。 今は家族それぞれに忙しくてバラバラな日が多いそうですが、あの元日前の一家団らんを一日でも早く取り戻してほしい。そう願いながら店に並ぶ商品を買わせていただきました。
関口威人(せきぐち・たけと、ジャーナリスト)、加藤直人(かとう・なおと、カメラマン)
関口威人 1997年、中日新聞社に入社し、初任地は金沢本社(北陸中日新聞)。整理部記者として内勤を終えたあとに片町や香林坊で飲み歩き、休日は能登や加賀をドライブで走り回りました。現在は名古屋を拠点とするフリーランスとして、主にヤフーニュースと東洋経済で防災や地域経済などについて執筆しています。 加藤直人 三重県伊勢市出身、在住。地元の行事やモータースポーツを被写体としながら、地域防災活動にも取り組み、能登では特に技術系ボランティアの活動を追い掛けてきました。現在は伊勢神宮の2033年の式年遷宮に向けた各種行事も記録しています。