心と体に寄り添う「リメディアルと香りの教室」
今回、取材させていただいたのは、2024年11月に開業した“リメディアルと香りの教室”を運営する井口智美(いぐち・ともみ)さんです。
アロマテラピーインストラクターの資格も持つ井口さんは約60~70種類のエッセンシャルオイルを使い分け、一人ひとりに合わせた「香り」を用いたアロマテラピーで能登の方々に癒しを届けています。
震災をきっかけに能登の人々にアロマで癒しを
能登町で“リメディアルと香りの教室”を運営している私、井口智美(いぐち・ともみ)は富山県高岡市出身で、育った家のすぐそばに畑がある自然豊かな環境で育ちました。
元々は保育園の先生をやっていたんですけど、ストレスから円形脱毛症に5回もなってしまったんです。
心のケアが必要だと思って、お客さんの立場でエステサロンに行っていて気づいたらそこのエステサロンの店長になっていたんですよ(笑)
その後、なんやかんやあり能登に嫁に来たんです。
そして震災をきっかけに能登の人々の「心のケア」の必要性を強く感じ、
アロマテラピーを用いた活動を立ち上げました。
そもそもアロマテラピーが何かというと、アロマが「芳香」でテラピーが「療法」という意味なんです。
お体のケアをするときに、使うマッサージオイルに良い香りのするエッセンシャルオイルをブレンドしているんです。

香りにも種類が本当にたくさんあって、うちには60〜70くらいの種類がありますよ。
最近だと、ハーブティーに使うディルという香りが推しで、メルカリに出品するとすぐに売り切れるほど好評でした。
他にも定番のラベンダーやレモングラスなど、さまざまな香りがあるんですよ。
「ケアはまだできないかな?」という声に呼ばれて
私は震災があった当初は1ヶ月半富山に避難していました。
避難するときにもいつもなら2時間半で行けるところが16時間かかったりと大変だったんです。
しかし、能登に残ったお客さん達から「ケアはまだできないかな?」「ケアをしてほしい。」という声が殺到したので、1ヶ月半後には能登へ戻ることにしたんです。
その声を聞いたときには「自分は能登に帰って、心のケアと手入れを欲している人々のために、行動しなければならない人」なんだと強く感じました。
その後は震災で心のケアが必要になった人たちに香りを使って癒しを与えています。
能登の土で育む「香りの観光農園と子供の居場所づくり」という夢
今仕事で使っているエッセンシャルオイルは能登産のものをメインで使っています。
その土地で育ったものってその地域で育った方々にやっぱりマッチするんですよ。
地産地消の考え方に近いのかな。
将来的には、奥能登に「香りの観光農園と子供の居場所」を作りたいと思っています。
そのために今、珠洲市の方でひまわり畑、能登町でハーブ園を作っているんです。
ハーブ園の方はミニハーブ菜園くらいなんですけどね(笑)
ひまわり畑は2025年5月5日に土起こしをして、5月22日に種を植えました。
ハーブ園はボランティアの方に手伝っていただきつつ5月2日に作業を開始しました。
畑を借りたり、準備したりを考えると4月くらいから動いていたと思います。

アロマワークショップを通じて得た畑
面白いのが、「畑を貸してくれる」という地元のおばあちゃんとの出会いなんです。
ボランティアでハンドケアやアロマワークショップをやっているんですが
そこで知り合ったおばあちゃんに観光農園の構想を話してみたら「うちの畑使え」って言ってくれたんです。

この出来事は、まさに能登復興の鍵となる「人とのつながり」が形になった瞬間でした。
ボランティアの活動が、予期せぬご縁を生み、それが今度は、地域の使われなくなった土地に新たな命を吹き込むチャンスへと繋がりました。
そして何よりそこで育った物を使ってアロマテラピーが可能になるので、
自分の事業に還元されて新たな価値をまた提供できるようになったんです。
新たな試み「かろやかマルシェ」への挑戦。
8月10日には、能登町松波公民館大ホールで『かろやかマルシェ』を開催しました。マッサージ、癒しカフェ、アロマクラフト、カードセッション、足揉みなど、様々な癒しを提供するブースが出展したんです。
この「癒しマルシェ」の売上の一部は、奥能登の遊休農地を観光農園に変えるための資金として活用したいと考えています。
「癒し」をテーマに心身の健康を追求する事業者との連携を深め、能登の新たな魅力を創造したいですね。

「能登の農業を改革する」仲間を募集中!!
今、最も困っているのは、資金面と人材面です。
能登のどの事業所も共通の悩みだと思いますが、お金も人も欲しいけれど、十分なリソースがないのが現状です。
使われていない畑がたくさんあるのに、草刈り機も耕運機も借りられないし、人もいないといった現状もあります。
実際に私も、この先どのように使っていこうか悩んでいる畑が3つほどあるんです。
そこで、地域のおばあちゃんが私に畑を任せてくれたように、私もその畑を貸し出して学生の方や若い人たちに運営から販売まで任せてみようと思っています。
もちろんサポートはしますのでご安心を!
学生さんにとっては就活で「畑の運営から商品開発まで全部やってました」なんていう「鉄腕DASH!!かよ」ってツッコミが入りそうなガクチカ(就職活動用語で学生時代に力を入れたこと)をゲットするチャンスなのではと思ってます!
まずは、プロボノでの活動になると思いますが、なかなか畑を運営する機会もないと思うのでぜひ皆さんからのご連絡お待ちしております。

取材後記
この度は取材をさせていただきましてありがとうございました。
井口さんとは取材よりも畑にいた記憶のほうが多いのは気のせいかな(笑)
震災で心のケアが必要な能登の皆さんから「帰ってきて欲しい」という声が上がるのが容易に想像できるほど素敵で、笑顔が印象的な井口さん。
取材のあと、一緒に畑に行った際には、さまざまな香りの花々を楽しませてもらったり、童心に戻ってひまわり畑で遊んだりと本当に楽しい取材でした。
地震のあと、能登の皆さんから「帰ってきて欲しい」と言われ、「私はいなきゃいけない存在なんだ」とすぐに行動できる姿がとてもかっこよく、尊敬しました。
井口さんが地元の方に価値を届けたことで繋がった畑が、新たなアロマテラピーの可能性と次の世代につながるように、これからも支援させていただきたいなと思っております。
最後に皆さんにお願い。
読者の皆さん、最後まで読んでいただきありがとうございます。
「行動で応援すること」が何よりも井口さんの助けになります。
井口さんの助けになれることはないかぜひ探してみてください。
そしてSNSをフォローして、「自分はこれができるぞ」とDMしてみてください。よろしくお願いいたします。

