石川、奥能登の美しい自然が育んだ素材を使った蒸留酒「のとジン」。
ユズやカヤ、月桂樹など、能登を象徴するボタニカルが織りなす爽やかな味わいは、まさに能登の風そのものを表しています。
今回は、この特別なジンを手がける「NTG」の代表、松田行正さんにお話を伺いました。
能登への想いを新たに
2024年1月1日。
私・松田行正は、石川県珠洲市で新年を迎えた元日、突然の大地震に襲われました。
海沿いにある事務所兼自宅まで津波が迫り来るなか、奇跡的に大きな被害は免れたものの、生活は一変しました。
しかしめげずに、震災からわずか一週間後には出荷体制を整えて営業を再開。
不便な状況のなかでも珠洲に留まり続けることを決めた理由には、地域への深い愛情があったからです。
新商品とともに歩む復興への道
震災後も歩みを止めませんでした。
これまで、材料の調達と加工は石川県で行い、ジンの製造はイギリスのウェールズの蒸留所が担っていました。
2024年5月、改めて新しく国内蒸留の「のとジン」を発表しました。
ご縁があった千葉県の“TL Pearce蒸留所”で製造を行い、国産ジャパニーズ“NOTO JIN(のとジン)”として生まれ変わらせ、販売を開始したのです。


続いて2024年8月には“のトニック塩”シリーズを手がけ、次々と新商品を世に送り出しました。
発表したものは単なる“新商品”ではなく、珠洲の塩と能登島の塩をブレンドした能登の塩と、体に害のない自然派素材だけを活用し、里山里海の営みを大切に守り続けてきた能登の復興への強いメッセージを込めました。
しかし、9月末日。
元日の地震からようやく立ち直り始めた矢先に、豪雨災害が再び珠洲市を襲いました。珠洲市では連日何度も節水への協力が呼びかけられ、災害があるとすぐに制限されてしまう現地の水道インフラの脆弱さを目の当たりにしました。創業当初から“珠洲に蒸留所の建設”を目標に掲げて震災後もその思いを強くしていましたが、新たに水を使う事業を起こすのは地域に迷惑をかけてしまう可能性があることを痛感し、その道のりを断念することを決めました。
それでも立ち止まらず、10月に復興への願いを形にした「のとジン願い星」を発表したのです。


能登産ブルーベリーや珠洲市の乾燥わかめなど、地域にちなんだボタニカルを使用しています。「のとジン願い星」のこだわりは、素材や製法だけではなく出会った方々の人生や思い出も商品にぎゅっと詰まっているところです。
関わった方とのご縁を大切にお酒作りを進めながら、能登の地がまた新しくなることを祈っています。
そして2024年12月には、富山県下新川郡朝日町へと活動拠点を移し、新たなスタートを切りました。
一度途絶えかけた蒸留所建設の目標は、富山県東部の新川地区で、新しく建てる計画にシフトチェンジしました。候補地はあるものの実現にはまだまだかかりそうです。
共に歩む仲間を求めて
新天地での再出発を機に、新たな仲間との出会いを求めています。
以下のようにNTGの活動を支えてくださる方々を大歓迎します。
各地で開催されるイベントスタッフ
各地のマルシェや祭り、お酒の展示会は、のとジンの魅力を直接お客様にお伝えする大切な機会であり、展示販売会場で商品への想いを共有しながら一緒に活動していただける方を探しています。
石川・富山にお住まいの方であれば、週末の2~3時間といった短い時間でもかまいませんので、地域のフェスやイベントで一緒に展示販売やPR活動をお手伝いいただければと考えています。
東京・大阪など県外のイベントもあるため、現地ブースでの販売を担当していただける方も大歓迎です。
SNSを通じたPR活動のサポート
InstagramやX(Twitter)などを活用して、のとジンやNTGの取り組みを多くの人に知ってもらう活動に力を入れています。そのPR活動にご協力いただける方を随時募集しています。商品の魅力やイベント情報を拡散することで、多くの方が「のとジン」を知るきっかけを作っていただければと思います。
商品の取り扱い店舗の拡大支援
のとジンを取り扱う店舗の拡大を支援・お手伝いいいただける方を求めています。
「うちのイベントで販売してみたい」
「新しくボトル販売してみたい」
「お店の料理に合わせて提供できたらいいな」
上記のように、バーやレストラン、酒販店などの方々とより多くの繋がりができたらと考えています。また、「近所の酒屋でも取り扱ってもらいたい」「よく行くバーに置いてほしい」などありましたら、ぜひ教えていただきたいです。新たなパートナーシップを築き、たくさんの方に味わっていただく機会を増やしたいと考えています。
ご自身の生活も大切にしていただきながら、できる範囲で結構ですので、NTGの活動にご協力いただければと思います。
新たな土地で再出発する今だからこそ、共に歩んでいけるパートナーとの出会いを心から求めています。
ご興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にお声がけください。
取材後記
のとジン製造のため、初めてイギリスのウェールズまで出向いたお話をしてくださいました。
道中ハプニング続きの大冒険で、聞いているとハラハラするものでしたが「それを経て出会った人たちのおかげで良いものができた」と穏やかに語る松田さん。
ご自身の年齢やお体のことも考慮し、何か新しいことを始めるときは“これから、ではなくこれが最後”と思いながら誠心誠意努めるのだそうです。
愛を込めて真摯に勤しむご様子が伝わってきました。関わった方とのご縁を大切にお酒作りを進める、松田さんのお人柄なのでしょう。
朝日町の蒸留所の完成が待ち遠しいです。

